事業内容

事業内容

本事業は,身体・心理・精神の改善をもたらす、人・自然・文化を介在した治療や療法を「セラピー」と定義し、以下を目的として展開する。

  1. 本学を研究拠点とし、日本遺産淡路島の「セラピー」資源の発掘とその効果および実施方法を健康科学
    の側面から研究開発する。
  2. 本学において「セラピー」の提供を含めた妊娠・出産・育児・認知症予防・緩和ケア等のセラピー活用支援モデルの開発及び島内の公共未使用施設を拠点としたモデルの実施とその効果の検証を行う。
  3. 淡路島ブランドのセラピー資源の商品開発とその効果の検討を行う。
  4. セラピーと看護を融合したより独創的な看護教育カリキュラムを開発し、その成果を全国の看護教育

本事業の背景

淡路島は、伝統的地場産業としてのお香の生産が行われている「香りの島」であり、花や緑で人を癒す「園芸の島」であり、かつ新鮮な山海の幸が豊富な「御食国(みけつくに)」でもある。住民は年間を通して美しい自然環境に触れ、新鮮な山海の幸・温泉・マリンスポーツ・サイクリング・フィッシング等を楽しんでいる。
しかしながら、少子高齢化が進み,若者の都会への流出が増加して過疎地域ともなっている。これらの状況に対し淡路島3市(洲本市・南あわじ市・淡路市)では、まちおこし対策・子育て支援・雇用対策等、様々な政策を展開しているが、こうした課題の解決には至っていない。
このような現状の中で、淡路島のセラピー資源を活用して健康面から課題解決に向けた活動・研究を推進するため、学長である江川隆子を中心に2014年4月に「住民と共に創るセラピーアイランド日本健康・環境セラピー学会」を創設した。2016年よりこの学会の目的や活動をさらに拡大するために、本学の看護診断研究センターの活動として位置付け、島内のセラピー資源の発掘や、健康関連情報の発信、セラピー体験の場の提供等を行っている。こうしたことから、本事業を行うための活動基盤をすでに有しており、地方自治体、地域住民,医療機関や企業、団体等との連携・協力支援体制も整っている。
一方、看護系大学の急増と医療の多様化に伴い、実習の場が著しく不足しており、看護学実習の質の担保が求められている。各大学では実習場の確保だけではなく、それぞれの特性を活かした独自の実習への取組みがなされており、本学でも、地域住民(看護教育ボランティア)の参画を得た演習や実習などの地域志向型の看護実践力を育成するための実習場の開拓を進めている。さらに、本学では地域特性や資源を活かした、独創的でかつ看護学実習の質を担保した看護教育カリキュラムの構築を目指している。

期待される研究成果

期待される成果と評価方法

  1. 発掘されたセラピー資源の効果の検証
    成果:セラピー効果の提示(セラピーマップの作成等)
    評価指標:気分尺度、心理的ストレス尺度、主観的健康感尺度等
  2. 本学施設および島内の公共未使用施設を拠点としたセラピー活用支援モデルの構築とその効果の検証
    成果:セラピー活用支援モデル
    評価指標:住民の活用実績、気分尺度、心理的ストレス尺度、主観的健康感尺度等
  3. セラピー関連商品の開発
    成果:地元企業・団体等と協働開発した淡路島ブランドのセラピー商品
    評価指標:住民モニターの評価(気分尺度、心理的ストレス尺度、主観的健康感尺度等)
  4. セラピーと看護を融合した看護教育カリキュラムの開発
    成果:看護教育カリキュラム
    評価指標:PROGテスト、自己効力感尺度、コミュニケーションスキル尺度等

ブランディングの取組

ブランド化と大学運営

セラピーに関わる研究は,これまで多くの報告がなされているが、長期的・多角的にセラピー効果に着目したものは少ない。本事業は「関西看護医療大学」が活動の中核となり、5年間という長期にわたって、島内の「企業・団体(地場産業、第一次産業含む)」「医療機関・施設」「地域住民」「地方自治体」「NPO法人」などの多様な人材が協働し、淡路島から掘り起こされたセラピー効果をもたらす地域資源とその効果を多角的に分析することで、今後の商品開発や地域の医療・保健・福祉の充実に活かそうとするものである。
また、本事業で得られた研究成果を本学の看護学教育,特に看護学実習の場に反映させることで、看護実践能力の育成、ひいてはセラピーと看護を融合したより独創的な看護教育カリキュラムの開発とセラピー能力を有する看護専門職者の育成に活かせるものと考える。
このような一連の取り組みは、淡路島全域の医療・保健・福祉の充実に寄与することが期待されるだけでなく、淡路島内全域の地域活性の原動力としての役割を担うことをも期待されるものである。
穏やかな気候に恵まれ、緑豊かな山々と美しい瀬戸内海に囲まれた日本遺産淡路島に立地する本学が、「セラピー」を大学ブランドとして取り扱うことで、より明確に「セラピーのある大学」としてのイメージが展開されるとともに、ブランドを体現する人材と情報を地域に発信できる大学づくりが実現される。

広報活動

  1. 広く活動を周知させるために地方自治体と連携するなどした、この活動を表すシンボルマークの住民に
    対する公募
  2. シンボルマークを活用した大学広報活動(ホームページ、大学案内、広告等)の展開
  3. 開発された商品の市場販売
  4. セミナー・研究会等の開催
  5. セミナー・学会等での成果の発表
  6. セラピーアイランド淡路島に関するリーフレット等の作成、配布