松村 惠子
KEIKO MATSUMURA 看護学部看護学科 特任教授母性看護学Ⅰ、母性看護学実習、課題実習、卒業研究
- 学位
- 学術修士・学術博士
- 専門分野
- 分化(看護学)、細目(生涯発達看護学:母性看護学・助産学・生涯発達学)
- 研究課題
- ①母性意識の構造と発達(文化的背景と性役割、性アイデンティティ・子育てとの関係) ②子育て支援方法(乳幼児虐待、母親の育児ストレス、母乳育児)、助産師の専門的な生涯学習と生涯発達支援(学習動機づけ過程、助産師のキャリア発達)
- 研究概要
- 母性意識の構造と発達を軸として、人間性の発達として母性と父性を位置づけています。この発達が子育てという人間の営みに、親性や育児性に、どのように繋がり生涯発達していくのか。博士論文で開発した測定用具「母性に関する認知」と「乳幼児に対する関わり意識」を用いて、乳幼児虐待予防など、子育て支援の一助となる方法について探っています。
- 研究中のテーマ
- ①A総合病院における産後うつ病予防に向けた地域育児支援モデルの構築 ②母性意識に関する実証的研究-中国における乳幼児に対する関わり意識(子育てにおける文化的背景に焦点を当てた研究)
- 主要論文
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【専門分野関係】・修士学位論文「女性の生涯発達における母性意識の構造」1998年3月
・博士学位論文「母性意識に関する実証的研究ー母性に関する認知と乳幼児に対する関わり意識からの分析ー」2003年3月
・「Gender Identity of Specialists from the Viewpoint of the Assignment of Social and Cultural Roles」The XV Internation al Congress of the Internation al Society of Psychosomatic Obstetrics and Gynecology.(2007年5月)
・「助産師の専門的な生涯学習を動機づける要因ー助産師業務の自己評価と達成目標傾向からの分析ー」日本生涯教育学会誌(2007年7月)
・母性意識と文化的な背景ーネパール王国における乳幼児に対する関わり意識の構造ー」日本比較文化学会誌(2012年3月)
・「日本社会における「与謝野晶子の母性偏重を排す」今日的再考-助産師のいきがい感からの分析ー」日本比較文化学会誌(2014年12月)。・「母乳育児に対する初産婦と経産婦の思い」日本母乳哺育学会誌(2016年12月)
・「院内助産システムの方針と運用・管理の実態:質問紙を用いたインタビュー調査」日本助産学会誌(2018年12月)など
【主要著書】・「母性臨床看護のポイントと事例展開」真興交易医書出版(1998年)
・「母性意識の構造と発達」真興交易医書出版(2000年)
・「母性意識を考える」文芸社(2005年)
・「発達支援のための生涯発達学」ナカニシヤ出版(2009年)
・「新版助産師業務要覧」日本看護協会出版会(2022年)など
- 所属学会
- 日本助産学会、日本母性衛生学会、日本看護研究学会、日本家族看護学会、日本女性心身医学会、日本思春期医学会、日本母乳哺育学会、香川母性衛生学会
- 経歴
- 高知県で生まれて大阪で学んでいた20歳の時、ある教授が「教えるということ」について話された内容で進路が動機づけられ、大学病院での助産師業務経験後、26歳で憧れの看護教員になりました。
その後、29歳で東京に移り専門学校の専任教員を経て、34歳から聖母女子短期大学で講師~助教授、42歳から埼玉県立大学で助教授、45歳から香川県立保健医療大学で教授、2022年3月に定年退職し、
4月、本学に着任し看護教員41年目の春です。大学院・学部ともに助産学・看護学を探究する学生たちから、淡路島でも嬉しい楽しいを実感する「時」の贈り物をいただいています。
現場で一番大変だったことはどんなことでしたか?
この体験や思いは、時折々に実感を込めて私の声とともにお話したいと思います。
現場で一番嬉しかったエピソードは?
ある時、大学から駅に向かう帰路、私は道端で四葉のクローバーを捜していました。 通りかかった学生が「先生何を捜していますか?」と、私は「四葉のクローバーを捜しているの、でも見つからない」、学生は「先生が今、幸せだからですよ」と。 少し疲れていた私は、この学生の人の心を思う感受性にとても安らぎ勇気づけられました。 日々どんなことがあっても、人生は幸せの可能性に満ちていると思います。あきらめないで生きてみよう、生きることの意味を問い続けていたら「幸せの力」が産まれてくるかもと思います。
看護を学ぶ在学生へのメッセージ
今から2400年ほど前、助産師を母に持つギリシャの哲学者ソクラテスは『精神の産婆術(maieutice)』という言葉を用いて「本当の知というものは自ら陣痛して産み出すもので、その陣痛へと高まらせ出産へと導くのが精神の産婆としての役目である」と諭されています。看護学を学ぶ学生のひとり一人が、看護現象の意味を深く考え、何が起こっているのか、あらゆる角度から綿密に観察し探り、看護の対象が持っている生命力を、対象自らで最大限に引き出せるような「看護の力」について問い探究を続けられるといいですね。日々の一つひとつの学修を大切に身近なところから対峙してみましょう。
これから看護職を目指す人へのメッセージ
人間に起こる「生老病死」という自然現象に看護学という学問的視点から対峙することに深い関心を持っている人。 「いのち」を生きる時を大切に、愛と夢と希望とロマンを大切に、そして勇気も大切に、語り、学び、看護について実践科学的な思考に基づいて学修する「時」を、本学で過ごし生涯発達していけるといいですね。
看護職を一言で表すと?
「人」です。生と死が円環的に繋がるそんな空間に佇み、知と技と心を鍛錬し、愛を刻む使命感と情感を「看護学」という基軸で、豊かに育むことに努力している人と思います。
今後チャレンジしたいこと、大学で取り組みたいこと
よりよく生きようとする学生たちが看護専門職者として健やかに育ちますように。 大学院生においては、修士論文が「助産学界」等、社会に還元できる研究成果に繋がりますように。今日まで醸成してきた私の経験知と理論知をうまく統合して学生たちに関われますように。 日々チャレンジと考えています。