研究科長松村惠子
私は、ただ私の路を歩むだけ
看護専門職者の皆さま、看護師・助産師・保健師として働く日々で。看護学生の皆さまは、看護師・助産師・保健師を目指して学修する日々でふと、こんなことをつぶやいたことはありませんか?
関西看護医療大学が位置する淡路島は、国生み神話において、最初に生まれた島とされています。伊弉諾(イザナギ)と伊弉冉(イザナミ)が天の浮橋から海に矛を差し込み、かき混ぜた後に引き上げた際に、矛の先から滴り落ちた海水が固まってできた最初の島が、現在の淡路島にあたると伝えられています。この淡路島は、「国生み」の始まりの地として古事記において特別な位置づけをされており、日本の神話における重要な役割を果たしています。
そんな淡路島にただ一つの大学院である関西看護医療大学 看護学研究科にて、限りある命の生き方、「私の路」を探ってみませんか。
本大学院には、3つの専門分野があります。
慢性疾患を持つ個人やその家族の看護における問題の抽出とそのケア技術の開発、効率的・効果的な組織やシステムの改善・改革の能力の修得を目指す慢性看護学分野。地域における看護実践や組織の改善・改革を導くための研究能力と改革能力の修得を目指す地域看護学分野。助産師として生命を重視する倫理観を持つ責任遂行力、専門的自律力と助産実践力、対人関係力と研究力の修得を目指す母性看護・助産学分野です。
各専門分野において、看護学修士の取得ができる学修支援体制を整えております。
本学の建学の精神は、「一隅を照らす」です。
「一隅」とは「片すみ」という意味で、『一隅を照らす』とは、「片すみの、誰も注目しないような物事にきちんと取り組む人こそ尊い人である。」という意味です。
そして、看護という一隅は、実に大切な一隅(ホットコーナー)です。この仕事を選んだあなたは、その決断に喜びと誇りと使命感を持ってください。
「一隅を照らす」精神を持ち続けていれば、「人の心の痛みがわかる人」「人の喜びを素直に喜べる人」、「人に対して優しさや思いやりが持てる心豊かな人」…自然と人と互いに笑顔で向かい合える看護専門職者になれるはずです。
人間の生涯発達の過程で、脳の機能は、20代前半をピークに衰えていきます。食欲などの本能的機能より、想像や思考、創生などの抽象的機能を働かせる高次の脳が先に衰えるようです。齢を重ねるとともに記憶力が落ちると、つい、思ってしまいがちですが本当は記憶力ではなく、意欲の低下なのかもしれません。
「やる気」を司る脳である≪前頭前野≫を意識的に鍛える、「読む」「考える」「書く」「互いの考えを述べ合う」こと。そして、「自らの内に向けて研究的な問いを行う」ことは、手間暇がかかりますが、それも自分らしい独創性を探究する「路」なのかも知れません。
皆さまの、看護専門職者の「路」、そしてその「道標」は何でしょう?
限りある時間を、生きる意味や、看護の心髄を探ることに使ってみませんか。同じ志を持つ皆さまを、心よりお待ちしております。
松村 惠子
KEIKO MATSUMURA 研究科長・母性看護助産学分野 特任教授- 専門分野
- 分化(看護学)、細目(生涯発達看護学:母性看護学・助産学・生涯発達学)
- 研究課題
- ①母性意識の構造と発達(文化的背景と性役割、性アイデンティティ・子育てとの関係) ②子育て支援方法(乳幼児虐待、母親の育児ストレス、母乳育児)、助産師の専門的な生涯学習と生涯発達支援(学習動機づけ過程、助産師のキャリア発達)
- 研究概要
- 母性意識の構造と発達を軸として、人間性の発達として母性と父性を位置づけています。この発達が子育てという人間の営みに、親性や育児性に、どのように繋がり生涯発達していくのか。博士論文で開発した測定用具「母性に関する認知」と「乳幼児に対する関わり意識」を用いて、乳幼児虐待予防など、子育て支援の一助となる方法について探っています。