淡路市長・学長対談

淡路市長門康彦×

学長江川隆子

新しい時代を共に迎えるために

淡路市と本学との歩みの始まりは、14年前まで遡ります。本学は、2006年に特定医療法人社団順心会と淡路市の公私協力によって看護学部を有する順心会看護医療大学」として開学しました。その後、2008年(平成20年)に大学名称を関西看護医療大学」に改称。2013年(平成25年)には、大学院看護研究科(修士課程)を設置し、1学部1研究科の看護の単科大学として発展につとめています。公私協調を始めて15年目の節目となるこの機会に、今までもこれからも本学の発展に欠かせない淡路市との連携について、淡路市市長の門 康彦市長と本学の江川 隆子学長の対談をお届けします。

学生がいるだけで、地域に活気が生まれている

江川学長(以下、学長):市との連携がスタートしたときは、前学長の時代なのですが。

門市長(以下、市長):そうでしたね。当時はまだ、行政側も淡路市ではなく、旧津名町でしたよね。旧津名町と大学が公私協調を進めている過程で、淡路市への合併となったと記憶しています。

学長:はい。そして開学数年後に大学側の課題解決の一環として、市から職員を派遣していただきました。

市長:旧津名町のときは旧県立津名高校の跡地と校舎を提供するというハードでの連携だったのが、淡路市になってからはソフトでも連携が始まりましたね。こちらはあくまで行政ですので、協力できる範囲が限られてはいますが、できる限りのことをやらせて頂いたつもりです。

学長:本当に感謝しております。本学の開学によって、淡路市に何か変化はあったのでしょうか?

市長:それはもちろんあります。地域に若い方々がいるといないで全然違うものです。学生の方々の約半分が淡路市に住んでいると聞いております。医学系の大学生なので一般の大学生よりはなかなか難しいでしょうが、それでも地域でアルバイトをしてくれている学生の存在が地域の力になっています。
淡路市から出ていく地元の若者がいるなかで、貴大学の学生が淡路市に卒業後も残ってくれることがあり、ちょうどいいバランスがとれているのではないかと感じています。

地域に開かれた場所として、大学の存在は大きい

市長:あと、学祭の存在も大きいですね。かつては津名高校の学祭が地域の祭りの拠点でした。それが復活したという印象がつよいです。津名高校が山の上に移転してしまい、どうも行きにくくなってしまっていたのが、利用しやすい元の場所で若い人たちが中心になって開かれる祭りがある。高齢者と若い人とのかかわりがあることは地域の方々にもとても喜ばれています。
地域とのかかわりという点では、貴大学で公開講座もされていたり、市の国際交流協会と連携されたりしていますよね。

学長:はい。地域に開かれた大学として少しでも社会貢献をできたらと思ってはいるのですが、公開講座をしていることなどに対して住民の方々の声は何か聞いていますか?

市長:公開講座に関しては、なかなかこれまでそういう機会がなかったので一部の人には難しいかもしれませんが、逆にチャレンジ精神を持って親しんでいる方々もいます。何より、大学が地域にあるというだけでステイタスに感じている方々もいますからね。しかも医療系の大学なので、地域住民としては頼れる部分があり、その安心感が一番大きいと思います。学生さんが100歳体操に来てくれるなどいろいろなところでつながっていることも嬉しい限りです。

学長:建設中の図書館と大学の連携も楽しみです。

市長:そうですね。今回新設する津名図書館は交流スペースや公園を併設し、子どもや学生向けの設備を充実させています。市にまた一つ新たな核ができます。ぜひここでもさまざまな取り組みを一緒にできたらいいですね。

学長:今はコロナ禍で密を避けるため、4年生が防災センターを借りて授業をやらせていただいています。今までとは違った状況のなか、今後どのように共に発展していけるかも今後の課題の一つですね。

市長:これからも、市のもので利用できるものに関してはぜひ利用していただきたいと思っています。もちろんこのコロナ禍で、貴大学との今後の公私協調はこれまでの延長線上ではなくなっていくと思います。もしこの状況が長く続くようであれば、それに見合った学習が必要でしょう。教室の場所や授業の仕方の方法を変えないといけない場合も、公私強調で進んでいかないといけないと思っていますし、できる限りの連携をしたいと考えています。

転換期を迎える淡路市で長距離ランナーとして頑張ってほしい

学長:本学も15年目という節目ですが、淡路市も大きな転換期を迎えておられますよね。

市長:はい。企業誘致による相乗効果は計り知れません。この10年で大きく変わると感じています。子どもも増えるでしょうから、そこは貴大学にも影響があるかもしれませんね。

学長:そう思います。本学への志願者の推移からも、すでに地元に残る志向の子どもが増えていると感じています。

市長:私自身もそうでしたが、昔は一度島から出たかったものです(笑)。今は明石海峡大橋があり簡単に行き来できることもあって、地元に残りながら島外に通う子が増えていますね。きっと貴大学も変わることでしょう。焦ることなく、長距離ランナーのつもりで今後も頑張っていただきたいと思っています。

学長:ありがとうございます。最後に、本学の卒業生にメッセージをいただけますでしょうか。

市長:人生においてある意味一番感受性が強い時期に、淡路島という空間のなかで勉学に励み、4年間を過ごしたことはきっと皆さまの宝になっていると思います。その宝をどう生かすかは皆さま自身の力であり、責務でもあります。ぜひその宝に磨きをかけて、何かの折には母校のある淡路島を訪ねていただきたいと思います。